メモ
一昨日、娘の精神科初診が叶った。
いろいろと慎重に考えて選んではいたけど、娘にとって良いかどうかは半々だった。
でも、うまくハマればと思っていたところが、上手く噛んでくれた手応えあり。
無事、漢方で薬の処方をして貰い、1週間おきに通院することが決まった。
通院が決まったということは、娘本人がここの先生を相談先として選べたという事だ。
リストカットの件も、あたし相手じゃ「本当はやりたいけど我慢してみせる」という主張くらいまでしかいけなかったけど、本来の欲求にもう一歩沈み込んで、正直にやりたい衝動を訴えてきた。これがあるのに出せなければ歪む一方なので、膿み出しのようなもの。カウンセリングと自問自答で、何の代わりにリストカットしたくなるのかに気が付けたら、手を伸ばす先が定まる。
精神的な代償行為って。
本来の望みのパターンが少ないと思う。
その少ないパターンさえ、実はまとめてしまうことが出来そうなくらい。
当然で、単純で、みんなが持っているように見えるくらいありふれたはずのもので。
社会的に受け入れがたい言動を見かけると、必ず出てくる。
愛情が足りないんだとか。
安心できる人間関係を知らないんだとか。
あたしだって自分に足りてないがために、苦しんでいるものはなんだと問われれば。
他人が分かりやすいよう言えば「愛」。
自分の感覚をなぞって伝えようとすれば…なんか「情」とか。
そんな当たり前でしょって簡単に差し出されまくる答えで、大体あっているんだけど。
愛が大事。
情を感じる必要。
人との繋がり。
当の本人っていうものは、その答えの上に沢山の事情や思いを積み重ねてきているから。
逆ピラミッドの底の一点を「これでした」って手にするのに、時間がかかる。
上に乗っかている物を「いや、これって結局副産物だから」ってわきに除けることが難しいのです。
それを口に出せるようになったら、あたしの出番もくるかもしれないと思っている。
誰からの愛。誰からの情。誰との繋がり。じゃなくて、自分が手を伸ばさなくても、いいよーって差し出されてるものに目が向けられるくらいになれば。
先生の手腕に期待。
薬を飲み始めてからの感想も、本来の娘らしい印象が感じられて。
ひとまず安堵した。
あそこの病院は初診を勝ち取ってカルテが作られれば、あとは駆け込み寺に出来る。
一番期待していた薬の処方は、さすがだと思えた。
散々薬で振り回されてきたあたしも、安心できた。
昨日は物件を見に行ってきた。
ネットで見つけた物件を、見に行くために予約していた不動産屋が…どうにも納得いかない不信感煽る。愚痴らなくても切って捨てて構わないだけの嬉しい事があったので、結果オーライだけど、あたしは二度とあの系列の不動産屋には行かない。
以前、娘と二人で住むためのアパートを借りた時、お世話になった不動産屋に行ってみたら、感動すること数回。
この日、最初の不動産屋で見せてもらうつもりだったのに、見られなくなった本命の物件まで見せて貰えた。
昨日は自分が本当に弱っているって、心底痛感した。
涙もろくて、些細なことで人前でもいちいち泣いた。
建前とか無理だった。
神経が過敏になっていて、もう身体が重くて頭もいたくて。周囲に配慮する余力がゼロ。堪えが効かない。
だけど、そのわりに頑張った。
ここずっと世界中に見放されている感が凄まじかったのに、助けられたと感じる出来事をいくつか感じることが出来た。起こった出来事も、あたしが手に取らなければ無かったことになるんです。手にとれてよかった。
本命だった物件は、具合が悪いことも一時忘れてはしゃいでしまうくらい好きになれそうな部屋だった。
だから、帰宅する前に。
ガタガタで、ボロボロで、グチャグチャな状態だったのに。
あたしはただやらなきゃいけないことをなぞるように、市場で夕飯の刺身を買って、その建物の上にある役所に登って、学務課を訪ねた。
あたしと娘には転校する事情が沢山あるけど。
役所には手続きに必要な情報さえあればいいわけで。
事情を汲んでもらえた方が後々助かるのか、いらない枷になるのかわからなかったんだけど。
気に入ったアパートが、娘の希望する学校の学区から外れていることを確認してもらってから。事情をあらいざらい話して、学区外にいながら希望する学校へ転校を許可できる項目に滑り込めるものを探してもらった。
こちら側としては、いじめだとか不登校の項目を利用させてくれといいたいけれど、これには学校長の許可が必要になる。つまり校長が「わが校にいじめがあった。それが原因で生徒が不登校になり、学校側の働きかけは問題を解決できませんでした」っていう白旗を公の場にあげるということ。無理なやつだこれ。
それに、実家の事情が背景にあったことを、あたしは棚上げにすることがどうしてもできない。
それも、全部話した。
生徒本人や保護者の特殊な疾患だとか、なんかぼかした表現で記載されている項目が憎たらしい。特殊な疾患ってなんだ。精神科に通院していることは該当するのか。ハッキリしろ。
あたしはただ目から涙ボロボロ零しながら、転校用の資料を何度も読み直してたんだけど。役所の姉ちゃん、困っただろうに。面倒がったり慌ててみせずに、ちゃんと話を聞きながら、必要な事を確認してくれた。
学区内に引っ越しが出来れば、何の支障もなく当然の権利で転校できるんですけど。って、一緒に考えてくれた役所のお姉ちゃんが唸ってアチコチ資料引っ張り出してくれてたら、後ろのデスクに埋もれてた別のお姉ちゃんが「あ、コレいけますよ」って、地図をプリントして持ってきてくれた。
そこのアパートから、学区内の学校までの通学距離と、希望校までの通学距離を弾き出してくれて。僅差で希望校の方が近かったー
通学距離の関係っていう…一番上にあった、一番尤もな理由…パッと見で該当しないと切り捨てたあたしたちのバカー。だって目で計ったらホント中間なんだもんー
そこから役所の姉ちゃんは、転校までの手続きの流れを、細かく教えてくれて。
あたしは震える手で、貰った紙に書き起こして。
学務課は、事情についての相談は役立たずだからって、相談窓口の連絡先を数か所メモしてくれて。それは何度か利用させてもらったことがあるやつだったけど。気持ちが嬉しかった。心から感謝した。
そこから駅に向かって。
電車を待って。
帰宅するまで。
頭も身体もバラバラになるんじゃないかってくらい、痛くて。軋んで。
ずっと涙が止まらなかった。
でも周りの目なんて、気にする気力も無かった。
物件見て回ってたときは、友人が一緒だったけど。
役所に行くところからは一人だった。
変な目で見られてたんだろうけど、よく帰宅した。偉い。
途中で座り込んだら、多分立てなかった。迷惑をかけることになっちゃう。
帰宅してすぐ、顔を合わせた祖母が母から話を聞いてると声をかけてきて「なんだか大変なことになってるじゃ」とぶつくさ言い出した。
あたしは、首をくくるくらいなら出ていく方がマシじゃないかな?と、祖母に言った。
それとも、ここで首くくって見せた方が納得する?って。
祖母が怒鳴った言葉。
そんなこと言うもんじゃない!
しょうがないんだべや!
どうせおばあちゃんが生きてられるのも数年だから、面倒見る人いなくて不便になってもしょうがないんだべや!
すごい。
いや、ホントすごい。
あの場で自分の世話がどうこうって文句挟み込んでっていうか主語にしてきた。すごい。
でも、しょうがないんだべやっていったから。
しょうがないんだよって言えた。
しかも、祖母は父の事も「しょうがない」と付け加えた。
あたしが父親の母さんだったら、張り倒して雷落としてお前が出て行けってやってるよ…。うん。なんかあきらめつけるしかないなって思った。
あたしと娘は、動かせれば便利でこそあれ、大切な家族ではなかったんだな。
先日娘と話をしていて、なんだか気になっていたことを聞いた。
娘がいうところの「親」って誰を指しているのか。
娘は、この家の大人と言った。
もちろん、あたしも含めてだ。
じゃあ、家族は…もちろんこの家の人全員。
あたしは、心のどこかで、父をはじめとする実家の大人たちと「家族になれるよう」頑張ってきた。なんの気負いも感慨も無く「家族です」と言えるのは娘だけだった。
もちろん、それはあたしの心理的な工夫であって。
外界で示す家族は実家全体になるけれど。
あたしの砦は「娘とあたし。二人が家族」だった。
親という単語の指すものは、すべて自分のものと受け止めてきた。
だから…と続けて綴れるほどハッキリしたものじゃないけれど。
違ったという。安堵と勝手な失望。これについて、昨日は思いがよぎることが何度かあった。
とにかく昨日はゾンビどころかミイラになった。
もうカラッケツ。
そこに妹が連絡をよこした。
子供が出来たと。
何にも考えられない状態で、あたしはそれをそのままこぼす事しかできなかったけど。
お風呂に入って、眠れるんだと、やっと今日が終われるとなったとき。
子供が好きなあたし。
妹に赤ちゃんができるっていう。
身近なところに赤ちゃんが生まれるっていう、ただその事実が嬉しいなと思った。
細かいことならいろいろあるけど、それ取っ払って赤ちゃん大好き。
子供、可愛い。あたしはただ小さい子供が好きだから。
今、自分の子供の事でこんな状態だけど。
あたし娘産んで、幸せなんだよな。
産まなきゃよかったとは、思ったことないと思う。
離れたいとか、逃げたいとか、そう錯乱することはあっても。
苦しいし、大変だけど。
良くしたいと思えるものがあるってのが、幸せなのかな。
なんだろう。
よくわからないけど。
妹に、自分は娘を産めて幸せだから嬉しい。おめでとう。ってラインした。
今日、娘に教えたら、かなりビックリしてたけど、最近のひねくれた表情が張り付いた仮面が消えて、無邪気に嬉しそうな顔になった。小さく興奮していた。
従妹ができるね。って。楽しみだねって。
その後、まだ未婚状態だっていう妹を思い出して「あれ?おめでたい?でいいんだよね?いいのか。ま、いいか。」って笑ってたけど。
とりとめないメモ。
忘れないように。