メモ

避難所。

バラバラのまま

「何を」「どうしたい」が分かっていない自分が「何処か」を探そうとした昨日。


頭の中のミチミチは、外に出す材料として扱う為に、いくつかキーワード化された。


キーワードだけが抜き出されて、解離した現実の「いつ」「どこに」配置すればいいか判断できず、霞がかった視界にプカプカ浮かせて自転車を走らせていた。


家を出る前に。
徒歩圏内にある販売パート急募に問い合わせた方が良いのか。と、焦りが湧いた。
それをする場合、急募とあるのに履歴書を支度していないのは面接する気があるのかと思われてしまうだろうから、履歴書作成。外に出る支度が済んでいたのに、座り直して履歴書を作った。


それから、家を出た。
何処に行くの?と聞かれたら答えられない。
履歴書を作ったのだから、ついでに徒歩圏内の販売パートに、店頭で問い合わせしてもよかったはずなんだけど。それは出がけになって、食い違いがある気がしてやめた。優先順位が分からなくなっている。そして、なにより、今日は履歴書を出さないと決めてから外に出て、自転車を走らせている間。胸がつままれたようになった。動悸がはじまる。なんだっけ。確かに昨晩の寝不足が不安材料。それなのに動けている珍しい状態。浮足立ったこの状態で、あたしは履歴書提出に警鐘を鳴らした。他人からは「そのくらい当然のことで乗り越えずにどうする」と言われるだろう理由。漠然と恐怖心が膨らんできたのだ。



これまでの自分を思い返してみれば、簡単にはじき出される。
軽く、躁状態なのかもしれない。
交感神経が張り切ってしまっている。
反動が正直怖い。



わからないけど、自転車をとにかく走らせた。
霞みがかった意識に浮いたキーワード。
図書館・市役所・子育て支援・ハロワ。


はろわ。ハローワーク。
就職するための機関。


その前にどうなんだこれっていう荷物抱えてるあたしは、子育て支援課に相談に乗ってくれる部署があったんじゃないかと、ぼんやり頭によぎらせながら、やっぱりなんとなく自転車を走らせていた。



なんとなくでも、市役所の方面へ。


だが、手前でハロワを通り過ぎた。
なんとなーく。
なんとなーく。
自転車を停めて。


また思考がパラパラする。


次の児童扶養手当手続きに、精神薄弱者な私が持って行かなきゃいけないもの。ハローワークでの求職活動記録。


めちゃくちゃ予定外で、一番最後に持って行った方がよくないかと思っていた場所に、やっぱりなんだか分からないけど、のそのそ入って行った。


総合受付窓口で職員さんを前にして、自分がどれだけ何もできないか、わかった。
何を聞いたらいいのかも、わからない。
当然、職員さんは訝し気にコチラを見るし、少々困ったなといった顔になった。
彼女が何のためにそこにいるのかというと、仕事を探している人の相談にのるため。かなり明確な理由があるわけで。手助けするために必要な相談者の情報を並べたい。就職を希望してやってくる人間が「よろしくお願いします」と手渡すものだ。


どういう職種を希望してるのか。
時間帯や休日、給料はどのくらいがいいのか。


現在の自分であれば、どういう職種、時間帯、給料が妥当であるのか、わからないでいるんだということを、その時ぞわぞわと自覚した。就職希望者登録みたいなものをして、とりあえず相談してみるという枠に入れられた。待ち時間が長い上に、自分が場違いな気がしてならなかった。現実味もない。なにより、何しに来たのか。(ハローワークに来たなら就活以外は出てこないのが普通)




相談窓口で担当してくれた人が、これまでの職歴と経験を聞き出して、実家での話をする流れになった。当然の事だが、健康状態、通院歴も。できるだけ簡潔に、感情移入なく、説明をしようと頑張るあたしの話をよく聞いてくれて。


よく頑張ってきたわねえ。
お疲れ様よ。
お子さん大変みたいだけど、そんな環境で育ったら大変にもなるわ。
自分のこともお子さんのことも、仕事どころじゃないわね。



たっぷり溜息をつきながら、悲し気に言った。
本当によく頑張ってきたのね。と、繰り返し言われて。
私、こんな話になってダバダバ泣いてていいんだろうか。ここ、そういう場所じゃないはずだけど。と焦った。


だけど、正直、どこにいって、何かをしようと思っても、スタート地点の今現在の現状把握から始まる。実家の話や娘のことしかないので。相手はサラッと知れたらいいのかもしれないけど。それしかないので、出せる物もそれだけ。


職員さんが提案してくれたのは、私の様に不安が多く就職が難しい人を相手にカウンセラーが来る日を利用する事。
ハローワークにはふたつ、カウンセラー窓口があって、ひとつは就職したいけど問題が絡み合って動くに動けないものを紐解く手伝いタイプ。もうひとつは就職活動に対する緊張や不安、対策を一緒に考えるタイプ。


こんなものがハロワにあるなんて知らなかった。


今まで、問題が終わらない不安定な娘に学校側からスクールカウンセラーを勧められると、お母さんも一緒にとよく言われたものだ。私は個人で通院していることもあって、学校サイドからのカウンセリングを受ける気持ちにはどうしてもならなかった。力関係が働くことが避けられないと思うから。



だけど、ハロワのこれは。
ちょっと違う。
かなり枠は少なくて、完全予約制だけど。
誰かの話をきいてみたい。
私のような人間を、知っているかもしれない知識のある人と話ができるかもしれない。
社会的な面で。これまでの出会いを思えば、期待しすぎないようにとは思うけど。




職員さんは、求人閲覧の仕方を教えてくれながら、いろいろと話をひろげてくれた。
一緒に出来そうな事を考えてくれた。



私は自分が接客販売しかできないかもと、決めつけていたことを思い知らされる。



職員さんが教えてくれた職種は、障害をもつ児童支援や、資格が無くても出来る子供の保育のパート。子供相手にアートで遊具を提供する企業があること。



お話聞いていて、人を待つのが得意な気がしたのよねー。
子供がモタモタ身支度するのを待つ、見守るのが仕事って向いてる気がする。
手伝って、待って、一緒に頑張って喜んであげるの。
これは出来るタイプと出来ないタイプ別れるから。
老人相手の介護だと、時間に追われるし、あなただと精神的に背負いそうだから、子供相手がイメージしやすい。普通の保育園や託児所だと子供相手と言うより保護者や保育者とのゴタゴタがメインだし。障害をもつ児童のデイケアがピピッときたの。
あと、なんだか芸術っぽい感性があるんじゃないかなーって感じるのだけど。
ちょっと変わったアートワークの企画をする会社とかで子供が遊ぶ場所の現場監督のパートとかね。
過剰適応っぽいのも感じるから、バタバタしたところでもやれちゃう分、苦しいかも。




過剰適応については、最近自分でも思うところがあって、過去を思い返してげんなりしていたので、少し驚いた。



実際これまでにあった求人内容を見せてくれた。
今は求人でていないけど、こっちの路線も視野に入れて、探していくのもいいと提案してくれた。


自分はそんなふうに、見えるんだなと。
思いもよらなかった。自分の周りが少し広がったような。変な感じ。
そのせいか、それまで求職するにあたって、何の意味も持たないからと棚に上げていたものが、ころんと口から転がり出た。


自分はPOPを描いて仕事をしていたことがあるので、なにかしらイラストが描けると便利だとか、絵心があるならやり方教えてもいいっていうノリなら、そういうのも希望職種に入れてもいいかもしれないと付け加えた。



職員さんは、いいと思います。と。笑って書き加えていた。



それから、仕事をするっていうのは、あなたにとって何番目に必要な事?と聞かれた。
仕事を探さなくちゃいけない理由。


この先の不安。
社会的疎外感。
それを感じて怯える自分が、娘にどんな影響を与えているのか。
とにかく、医者も周囲の人間も、あんた仕事できるからって、言っている気がする。
できるから、やりなさいよ。
できるのに、やらないなら、それはきっと責められることで、怒られることで、切り捨てられて、侮蔑の対象になるかな。それは良い事ではないでしょう。母親が良い事ではない状態なら娘は余計に不安要素が増える。



だけど、職員さんは、私と話して「自分がどのくらいなら出来るのか、どのあたりなら大丈夫なのか、わからないわよね。」と言った。



今までの職歴見れば。10年務めたカメラマンの後がご実家7年。しかもかなり辛かったわよね。ご実家を出てから今までも、仕事が出来ないって悩んで苦しかったんじゃない?


優先順位をつけてみましょうよ。
あなたは今、手当や援助で生活は出来ている。
生活を送る為に死ぬ気で仕事をしなくても大丈夫。
だけど、自分がどんな状態なら社会に出られるのか知りたい。
無料のカウンセラーや、市の支援サービスを利用して欲しいわ。
お子さんの事は大変だろうけど、そこの為にもご自分がケアされて余力を蓄えておきたいよね。
余力を作るって、今のあなたには凄く難しいだろうけど。
だったら尚更弱ってる状態で無理したら、もっと復帰が難しくなる。


自分がどのくらいなら大丈夫で、どういうところなら頑張りが効くのか。


支援を利用して分かることができれば、自分で選ぶことが出来るようになる。



帰り道、言われたことを反芻した時は「これって結局、今のあなたには仕事は無理よーって言われたようなものなんじゃないか?」とも思ったけど。


それでも、2時間近く。
じっくり話を聞きながら、あくまで「私の就職」を指針にいろいろと話を広げてくれた。


ハローワークは、どこ使っても、案内されているサービス何使ってもタダだから。
隣にある市の施設も、いろんなサービス、支援、全部タダよ。
市役所にも沢山あるのよ。
使えるもの、何でも使っていいのよ。
使えるだけ使うためには、相談しないと。
あちこち、相談だけでも行ってみて。




なにより、あたしが涙をこらえきれなかった。


よく頑張ってきたのね。
そんな環境じゃ大変な事にもなるわよ。


という、言葉。



決して広くない施設内で、職員一人を占領して2時間。
よかったんだろうか・・・


昨日も沢山泣いた。




市役所のどっかの部署では職員の心無い言葉に、パニックを起こしてしまったことがあった。


ハローワークで、こんな風に感謝することになるとは思いもよらなかった。








交感神経は、まだイガイガしている。

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